「自分が見ている世界は自分が決めている」

今回のテーマは、
「自分が見ている世界は自分が決めている」

生きているなかで
いろいろなと不安を感じることはあっても、
目の前のことに追われて、
それを深く掘り下げる機会って少ないかもしれません。

自分が存在していること。
世界が存在していること。

その世界を自分が認識していること。。。

そんな現実にを不思議に思い、なぜだろうと思ったとしても、
そんなことに答えられるわけはない、考えても仕方ない、
そうすぐに打ち消してしまう?

いや、その問いにまったく答えられないことに気づかされ、
呆然としてしまうのかもしれません。

10代後半の頃の僕が初めて読んだニーチェの本には、
こんな意味のことが書かれていました。

「どの時代のどんな社会にも、
誰もがぶつかる問題が必ず存在している。

ただ、普通は自分の一生を費やして、
この問題を問いつづけることはできない。

問題にぶつかることはあっても、
それを根本的に解くまでいたらないで、
いろんな不満を感じながら生きていくことになる。

ニーチェはそういった問題を、
徹底的に考え抜いた人間の一人だった」

哲学というと難しく感じますが。。。

「途中で投げ出さず、考え抜くことなのか」

そんなふうに受けとめることで、
目の前にサーっと光が差し込めたのを覚えています。

では、何を考え抜いたのか? そこでどんな解を得たのか?

それが前回のメルマガでお伝えした、

「主観と客観の問題」

ということになります。
要するに、自分が見ているものと見ているもの自体、
それらは本当に一致するのか?

いまここで生きていることに、
直接関わりがないことのように思えますが。。。
もし一致しないというならば、
何を学ぼうが、何を知ろうが、
すべては不確かなことになってしまいます。

だとしたら、学ぶ意味なんてどこにあるのか?
知ることにどんな価値があるのか?

純粋に、役立つことだけ身につけばいい?
でも、そうやって割り切って仕事や生活のことばかり考えるのも、
どこかうさん臭いというか。。。

いずれにせよ、何が本当かわからない。。。

かくして意味と価値が相対化され、
存在の足場が揺らぐことで湧き上がってくるのが、
ニヒリズム(虚無主義)です。

ニーチェは、自らが生きた19世紀末のヨーロッパ社会を、

「ニヒリズムが蔓延した社会」

ととらえていました。
それはいまも続いているかもしれませんが。。。
そこから抜け出すには、
根本にある「主観と客観の問題」を解いていく必要があります。

以下、竹田青嗣先生のニーチェ論をふまえながら、
この問題をほどいていくと。。。

たとえば、近代哲学の巨人の一人であるカントは、

「人は不完全な存在であるため、 目の前にあるものをそのまま認識できない」

つまり、主観と客観の溝が原理的に埋められないと説きました。

物の本質(物自体)が正しく認識できるとしたら、
「神」を想定するしかない

ということになりますが。。。
ヘーゲルはこのカント哲学をさらに進めて、

「認識は経験によって成長する」

そう、認識が成長していった先に、
完璧な認識(=神の認識)が存在するととらえたわけです。

竹田先生いわく、「まるでゲームの主人公のように強くなる」。笑

そのように解くことで、
「主観と客観の問題」に一応の決着がつくことになりますね。
認識すること、知ることの意味が
ヘーゲル哲学によって保証されることになりますから。。。

このヘーゲルが打ち立てたのが弁証法です。

対立する2つの考えをぶつけあい、止揚することで、
より高次の認識が生まれる。。。

社会もまたそうやって弁証法的に進歩していくことになりますが。。。
でもですね、ちょっと冷静に考えると、

「結局、なにも解決していないじゃん」

という話になりませんか?笑
だって、いくら認識が成長していこうが、止揚されようが、
こうしているいま、
主観と客観が分離していることに変わりないわけですから。

話がちょっと長くなってしまいましたが。。。
ここで登場するのがニーチェです。

ニーチェのすごいところは、

「そもそも客観なんてない」

とまず言い切ったところです。
客観がなければ、主観と客観の溝も存在しないことになりますね?

客観がない? だってあるでしょ?
目の前にものがあり、世界がある。。。それがすべて幻ということ?

そうではなく、見ている自分に「中心」があるということ。
自分が見ている世界は自分が決めている。。。

ニーチェは、それまでの近代哲学のテーゼをすべてひっくり返した、
新しい世界の見方を提示したわけです。

次回のメルマガでは、
「精神の呪縛から解放させる究極の哲学」 というタイトルで、このニーチェ論の続きをお届けします。
楽しみにお待ちください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
一緒にセルフメンテナンスをして豊かな人生を創りましょう。

セルフメンテナンス協会・メールマガジン2020/10/15配信)より転載

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