「ヒトは『パンツをはいたサル?』」

今回のテーマは、
「ヒトは『パンツをはいたサル?』」。

前回のメルマガで、20代の頃の僕が最も刺激を受けた、
栗本慎一郎先生の

経済人類学

のエッセンスを取り上げました。

この世界に存在するものは、
すべてつながり、全体でひとつの「生命」を形づくっている。。。

こういう話自体はよく耳にするかもしれませんが、
栗本先生が重視されていたのは、その「構造」です。

僕が受けとったポイントは3つあって。。。

一つが前回取り上げた「層の構造」
ミクロからマクロまで、この世界は無数の層で成り立っており、
「より上位の層が下位の層を支配する」。

たとえば、生物はもともと一つの細胞でしたが、
やがて多細胞化し、組織や器官が生まれ、「身体」が形成されました。

もともと自立した生き物であったとしても、
いまや細胞はより上位にある身体を抜きに存在できませんし、
身体の働きのなかでは、細胞はその一部です。

それと同様、身体を持った僕たち個人も、
社会というより大きな生命体のなかで役割が与えられ、活動しています。
個人の尊厳はもちろんありますが。。。
社会を抜きにした個人ってありえませんよね?

こうしたつながりをふまえると、
生命と呼ばれるものが内から外へ、
無限に広がっていくのが感じられるでしょう。

ここに加わるのが「二重構造」です。
これは社会の構造としてとらえるとわかりやすいですが。。。

ひとつの共同体のなかに外部から異物が入り込むと、
そこに緊張が生まれ、平穏だった「場」に変化がもたらされます。

内部と外部に「境界」が生じ、境界は異世界との入り口になり。。。

民俗学などで取り上げられる民話、神話のたぐいは、
こうした異世界との交流、そこから生まれる摩擦やゆらぎが
物語のベースになっているわけですが。。。

境界は争いを生み出す「対立の場」であると同時に、
交易などが生まれる「経済活性の起点」でもあり、
そこでは異文化の交流、コミュニケーションがたえず起こり、

「創発」

と呼ばれるクリエイティブな生成発展が生み出されます。
未知のポテンシャルを引き出す
トリガー(引き金)として機能するわけですが。。。
それはいいことばかりではありません。

創発を生み出す二重構造は、

過剰

をうながすもとにもなるからです。
栗本先生は、こうした過剰を生むヒトという存在を、

「パンツをはいたサル」

と呼びました。
同名のベストセラーのタイトルでもあるわけですが。。。
ここでいうパンツとは、

「本来必要ないけれども、ないと困るもの」

の象徴だと考えてください。
ユニークな表現にひっぱられると本質が見失われてしまいますが。。。笑
栗本先生に言わせれば、

法律も、宗教も、道徳も、文化も、お金も。。。 ヒトが生み出したものすべてが「パンツ」。

ヒトという生き物は、この過剰を増幅させ、
やがては蕩尽する(消費し尽くす)ところに快感をおぼえる。。。
そう、「過剰ー蕩尽」の構造こそが3つ目のポイントにあたるわけです。

古くから伝わる祭礼のたぐいは、
すべて過剰の蕩尽によって「快」を生み出す装置。

それはひとつの知恵でもあったわけですが、
ヒトという生き物は、その装置によって争いも増幅させ、
無限に発展・成長することを追い求める、

「拡大発展病」

という“不治の病”にかかることになるわけです。

実際、いまやヒトの活動は生態系を壊し、
生存環境を劣化させる最大の要因になってしまっています。

お金にしてもそうですよね?

もともとは神様へのお供物に貨幣の起源はあったとされますが、
やがて市場と結びつくことで、
無制限に富を増幅させる魔力をまとうようになりました。

栗本先生は、「パンツをはいたサル」で一躍時の人になったのち、

「パンツを捨てるサル」

という続編を刊行しましたが。。。パンツを捨てる?
捨ててしまって社会は成り立つ? いや、そもそも本当に捨てられるの?

一見すると答えのない問いのように思えますが。。。
僕自身、こうした栗本先生の問いを意識しつつ、
ゆっくりじっくり、自分の世界をつくっていったように思えます。

その際、大きな示唆を与えてくれたのが、
僕にとってのもうひとりのキーマン、竹田青嗣先生でした。

ニーチェ、フッサールの研究者である竹田先生は、
哲学者としての稀有な視点から世界の構造を解き明しました。

この世界で自分はどう生きていけばいいのか?

それが明瞭に自覚できるようになったのは、
竹田先生を介した

実存哲学

との出会いによるところが大きかった気がします。

次回のメルマガは、この続きとして、
「ルサンチマンをどう突き抜けるか?」
というタイトルでお届けします。楽しみにお待ちください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
一緒にセルフメンテナンスをして豊かな人生を創りましょう。

セルフメンテナンス協会・メールマガジン2020/10/08配信)より転載

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