天使と人の違いって何? 〜辻信一さん・ロングインタビューを一挙公開!
【インタビュー公開!】
「スローライフ」の伝道者、
文化人類学者・辻信一さんのロングインタビューを公開しました。
前後編、2回にわたって辻さんの世界観に迫ります。ぜひご覧ください!
★「正しさにとらわれず、『悩むことを楽しむ』ことが
人生の豊かさにつながっていきます」(辻信一インタビュー1)
https://selfmaintenance.org/archives/4321
★「身体を持って、人を愛するため、
僕たちはこの世界に生まれてきたんです」(辻信一インタビュー2)
https://selfmaintenance.org/archives/4413
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今回のテーマは、
「天使と人の違いって何? 〜辻信一さん・ロングインタビューを一挙公開!」
冒頭で紹介した辻信一さんのインタビューに、
次のような印象深いくだりがあります。
辻 『スロー・イズ・ビューティフル』でも、
天使と矛盾だらけの人間の違いについて書いたんです。
天使って身体がないでしょう?
天使は身体がないから偏在できる、
いろいろなところにいっぺんにいられるわけです。
つまり、僕はここにいるけれど、
同時に真鶴にもいられて、アフリカにもいられる。
どこにいたっていい。
逆に身体を持つということは、ここにしかいられない。
――ここにしかいられないから、つらく、苦しい。悩みが生まれる……。
辻 そう。身体というのは、悩みの種じゃないですか(笑)。
――悩みの種ではあるけれども、ネガティブなものではない。
矛盾も含め、素晴らしいということですね。
(引用おわり)
生きることにつらさを感じることが重なると、
人は生きることそのものを厭うようになり、
天使が存在しているような「生の向こう側」に恋い焦がれはじめます。
でも、どうなんでしょう?
辻さんも語っているように、
苦を超えた世界にいる天使には「身体」がありません。
身体があるということは、
時間×距離×速さ
の存在する世界に身を置くということです。
思ったことはすぐに実現しません。
たとえば、身体を持たない天使は、
アメリカに行きたいと思った瞬間、時空を超え、瞬時にアメリカに存在できます。
でも、僕たちは時間、距離、速さのなかで、
アメリカという空間へ身体を移動させるしかありません。
それが体験するということ。
どんな大富豪でも、権力者でも、
せいせい、自家用ジェットで時間を縮められるだけ。笑
物理的な制約から完全には抜け出せないでしょう。
山に登っていると、稜線の向こう側に、
これからたどり着くであろう山の頂が見えることがあります。
経験を積んでいけば、あの頂までどれくらいの時間がかかるか見当がつきますが、
でも、それを証明するには、実際に歩かなくてはなりません。
歩くなかで、天候が悪くなったり、足をくじいたり。。。
想定外のことも起こるかもしれません。
でも、諦めずに進んでいけば、やがてたどり着けるでしょう。
いや、たどり着けるかどうか、自ら体験して確かめるのがルールなんですね。
でも、本当に、何のために?
息も絶え絶えに山を登っている時、そう感じることもあるでしょう。
対する辻さんの答えは、ホント秀逸です。
辻 堕天使といって、
堕落して人間界に落ちてくる天使もいるわけですが、
そこで気づくわけですね。
どこにでもいられる自由を捨てて、
なぜ天から落っこちてきて人間になったのか?
身体を持って、人を愛するためなんです。
しかし、人を愛すれば悩むし、身体があれば、病気にもなるし、
死ななくちゃいけないから悩む。
すると、人間になるということは、まるで悩みを持つためなんですよ。
――相対的な世界だからこそ体験できるわけですね。
辻 ええ。病気なんて身体がなければないですからね。
(引用おわり)
時間、距離、速さの存在する物理空間は、
不自由な制約がつきまとうがゆえに、天使たちのいる世界よりも次元が低い。。。
やがて克服されるべき世界
としてイメージされてきたかもしれません。
天使を信じていない人たちも、進歩した未来、理想の社会に置き換え、
そのイメージを受け入れてきたでしょう。
でも、いま、ここ、この目の前の世界がすばらしい。
そんなパラダイムシフトが起こったらどうでしょうか?
僕たちは、制約を通して制約を超えたものを認識し。。。
他者を通して自己を知り。。。
不自由を通して自由を感じ。。。
そういう仕組みのなかで、
「わたし」ではない無数の「あなた」と、こうしていま、
存在の旅
を共有しています。
なんとまあ、言葉を失うくらいの、ここはすごい場所なんですね。
ここにいながら、何にもならず、
はえてもいない天使の羽をすっぱり捨てて。。。
目の前の世界で見るべきものを見る。知るべきことを知る。
それが、何にも替えがたい、とてもすばらしいことなんだと思うんです。
もっともっと深く、深く、味わいたい。
苦しいことがあっても、できるかぎり踏みとどまって。。。
辻さんの長いインタビューを通して、
いつの間にか始めていた
存在の旅
を思い出す、小さなきっかけが生まれたら、
僕自身、とても嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
一緒にセルフメンテナンスをして豊かな人生を創りましょう。
*セルフメンテナンス協会・メールマガジン(2021/8/19配信)より転載
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