ウイルスはただ避けて、排除するべきもの? 「共生」の視点から「新型コロナウイルス」の意味を考えてみよう?

非常事態宣言が出たこともあり、新型コロナウイルスの話題で持ちきりですが。。。ふと疑問に感じてしまうのが、ただ避ければいいの? 遠ざければいいの? っていうこと。

そのマインドが続くと、目に見えないウイルスにおびえる思いばかり増幅していきますが、じつは僕たちの身体は菌やウイルスだらけ。

そんなことは知っている? であれば、なぜこういう時こそ「共生」の意味を考えないんでしょう? 

ウイルスとの共生。。。一見するときれいごとのように聞こえますが、そもそも僕たちはすでに何らかのウイルスと共生しています。

新型コロナが棲みついてるかはわかりませんが、菌(バクテリア)も含め、いつの間にかいろいろな異物が身体のなかに入り込んで、でも、多くの場合は特に問題にならない形で折り合いがついています。

ウイルスだから悪いやつだとは限らない。いや、ウイルスも菌も善悪では語れないはずなのに、こういう事態になると悪者扱いしてしまいますね。

共生、多様性、持続可能性、SDGs。。。  

これまでこういう言葉を未来の希望のように使ってきた人たちの口から、自粛という言葉ばかり出てくるのは、内心では排除したがっているわけだから、悪く言えばダブルスタンダードなんじゃないかなと思います。

ウイルス撲滅、ウイルスとの戦い、ウイルスに負けない。。。

こういう勇ましいフレーズを聞くこともありますが、戦って勝てるんでしょうか?笑 というより勝ち負けの対象なの??

じゃあ、どうしたらいい? こうしているいまだって感染者が増えているのに、共生だなんてありえない! 

そんな声も出てきそうですが、検査して陽性だと仮にわかったとしても、発症までにはそれなりのプロセスがあります。

その途中で回復することだって珍しくないし、重症化するケースは全体のほんのわずか。そもそも体調を崩さないまま、気がついたら抗体がつくられていたケースも多いと思います。

もちろん、その過程で他者に感染することもあるでしょう。

感染されたひとが重症化したり、結果として医療機関に負荷がかかったりもしますから、衛生面については極力気をつけたほうがいいのは確か。ただ、そうだとしても重症化のケースはそうは多くない。

それが現実にもかかわらず、ちょっと過剰に「怖い」と思ってしまい、「万が一」のことを考え、自粛しかない! STAY HOME!と思い詰めてしまう。。。その背後には、たぶん次の2つの理由があるように感じます。

1、そもそも、免疫のしくみがあまりわかっていない。
2、ウイルスへの対処法が「手洗い」や「マスク」以外思いつかない。 

手洗いやマスクが無意味だと言ってるわけではないし、自粛が100%間違っているわけでもないとは思いますが。。。でも、わからないから怖い、何となく不安になるってこと、結構多いと思いませんか?

とりあえず、1の免疫のしくみについて考えてみましょう。

一般的に免疫というと、「抗体がつくられるしくみ」をイメージする人が多いかもしれませんが、それは免疫の働きのほんの一部。

ウイルスが体内に侵入して最初に反応するのは、マクロファージ、樹状細胞、好中球などの食細胞で、まず侵入してきた異物を手当たり次第に取り込んで、貪食していくわけです。

まあ、そのあたりは聞いたことがあるかもしれません。ただ、もう少し厳密に言うと、こうした白血球の仲間(免疫細胞)だけでなく、粘膜などを構成する周辺の細胞も総出になってウイルスのような異物に対応しています。 

この時に作動するのが、細胞一つ一つに備わった自然免疫のセンサー。

細胞の内外に伸びている受容体(レセプター)のことをそう呼んでますが、その核となるのは、10本あまり発見されているトール・ライク・レセプター (TLR)でしょう。

TLRがキャッチするのは、菌やウイルスの体の成分。↓こちらにあるように、レセプターの種類によって、体の成分の何を認識するかが違ってきます。

https://www.yakult.co.jp/healthist/210/img/pdf/p02_07.pdf

これは何を意味するかというと。。。

TLRは病原体そのものを認識するのではなく、病原体に共通して存在する成分をよりどころにしています。

(中略)

十数種のTLRが認識するのは、病原体の構成物で変異することがなく、さらに、それがなくなってしまったら病原体も死んでしまうような、彼らにとって非常に重要な分子です。

発見当初は、TLRは主に細菌菌体成分を認識するものとして考えられていたのですが、現在ではいくつかのTLR は、ウイルスの構成成分を認識していることが明らかになっています。

審良静男インタビュー〜免疫システムの常識を覆した 「Toll様受容体」

要は、まず細胞に備わったTLRがウイルスを含めた病原体の成分をパターン認識し、ウイルスに対してはインターフェロンという物質が主にマクロファージから分泌されます。

インターフェロンは抗ウイルス物質であり、↓こちらのようなプロセスで「ウイルスの遺伝子を切断する物質や、ウイルスのたんぱく質が作られるのを妨げる物質」をつくりだし、ウイルスの増殖を阻止します。

http://www.gibo-clinic.com/liver_i.html

また、それだけでなく、周辺の細胞からはディフェンシンと呼ばれる抗菌・抗ウイルス物質も分泌され、前述したように周辺の細胞が総出になって異物(ウイルス)に対処することになります。

重要なのは、こうした自然免疫が初期消火にあたることが、リンパ球の仲間が抗体をつくる「時間稼ぎ」になるからです。

免疫を担当する白血球には様々な種類がありますが。。。

抗体という特定のウイルスを絡めとる「武器」をつくるのはリンパ球の仕事で、マクロファージや樹状細胞からの情報を受け取るT細胞と、このT細胞の指令で実際に抗体をつくるB細胞に役割分担されています。

抗体は一度つくられるとその情報がB細胞に記憶されるため、同じウイルス(たとえば、新型コロナウイルス)が再び侵入してきてもすぐに対処でき、通常、「二度かかることはない」と言われています。

ワクチンはこの「二度なし」の原理を利用し、あらかじめ弱毒化したウイルスを接種させ、人工的に抗体をつくり、ウイルスに対処しようとするものです。

ワクチンが効けば「二度なし」が適応されるため、感染・発症が防げる。。。こうした前提に立って、ワクチンの早期開発が進められているわけですが。。。

ウイルスは分裂スピードが速く、変異を繰り返す性質があるため、変異した新しいコロナウイルスがまた蔓延したら、ワクチン開発はやり直しです。しかも、開発までにかなりの時間がかかります。

ワクチンの問題はややこしいのでここでは取り上げませんが。。。パンデミックの当事者である僕たち一人一人にとっては、正直、あまり身近な話ではありません。いつ開発されるかもわからないワクチンをアテにしてるわけにはいきませんから。。

それよりも、初期消火に当たってくれている自然免疫の働きに目を向けてください。 

担当しているマクロファージや樹状細胞、好中球はどれも一個の細胞です。そもそも、細胞そのものにTLRのような自然免疫のセンサーが備わっているわけです。

そう、ウイルスや菌に最初に反応するのは細胞です。

細胞というのは、それ自体が一個の生き物のような存在で、個々の活性レベルはその個体のコンディションに左右されます。いや、個々の細胞の活性度の総和が、その個人の「コンディション=健康」にあたるわけです。

細胞の活性レベル(健康状態)が低ければ、当然、免疫のセンサーの働きも低下するでしょう。そうなれば、ウイルスや菌に対する防御力も低下します。要は、それが「免疫力が低下した状態」にあたるわけです。

だとしたら、どうすればいいでしょうか? 

答えはカンタンです。細胞を活性化させていけばいい。

どうやって? 細胞の健康を成り立たせているのは栄養と酸素です。言い換えれば、食べ物と呼吸です。要するに、食べることと息すること、この二つのクオリティーが落ちてしまうことが感染レベルを高める原因の一つ。

呼吸は自律神経の働きを介してストレスとリンクしています。

いや、消化管の要にある腸の働きも自律神経ベースですから、そこには栄養だけでなく意識やメンタルも関わります。

つまり、カギを握るのは食べることとストレスケア。一人一人のコンディションが異なるため、なかなか「これをすればいい!」とひとことでは言えませんが、でも、身体の構造は誰もが同じである以上、

「多くの人に共通する大まかなノウハウ」

はあるはずで、僕はそれを『ゆるむ! 最強のセルフメンテナンス』のなかで、

「腸活→抗酸化→細胞活性」

という3つのステップでとらえてきました。

書籍の冒頭に掲載した「セルフメンテナンスの見取り図」を公開するとこんな感じ。。。

本には載せていませんが、この図も参考になるかな。。


手洗いしたり、マスクをする、人との接触を避けるというのは、衛生上の注意点として重要だと思いますが、いくら頑張っても「ウイルスが体に一切侵入しない」というのは無理でしょう。

そもそも、そんなことばかり考えていたら社会活動はおぼつかず、前述したように恐れや不安の気持ちばかり湧いてきます。

まあ、それでも国を挙げて自粛している以上、自粛はしましょう。でも、あんまり神経質に接触を恐がったりせず、もうちょっと「免疫の働きを助けてあげるような身体づくり」に充てていったらどうでしょう? 

栄養バランスのとれた食事、ゆったりとした呼吸、あるいは、細胞活性をうながすには温めることなども大事になりますが。。。具対的に何をどうしたらいい? 栄養補給にしたって、かなり漠然としていませんか? 

このあたりをしっかり学んで一つ一つクリアーにし、実際に体が元気になっていくと、メンタル(心)も自然と変わっていきます。

繰り返しますが、ウイルスも菌も別に悪者ではないんですよ。

別に一緒にいてもいいんですよ。

彼らが暴れる理由は、運の良し悪しなどではありません。その人のなかに必ず理由(必然)がひそんでいます。

国に頼り、医療に頼り、メディアの報道に一喜一憂し、ひたすら外出を避ける? 

仕事がある人もどこか後ろめたく、おっかなびっくり。。。なんだかそういう風潮、自分で作りだしていませんか? 

正直、僕自身は全然そんなことなく。。。笑。この機会にいろいろなことを学び、自粛のおかげもあって(結果的に)しっかりセルフメンテナンスに取り組むことができ、心身ともにたぶん前よりも元気になれています。

なぜか? それは「身体のなかには答えがある」ことを知っているから。

知るべきことのすべてを理解しているわけではもちろんないですが。。。自分軸に立って自己を見つめ、世界を見渡せば、「バランスの崩れ」には敏感になれます。自分自身のバランスの崩れ、世の中のバランスの崩れ。。。

頭で考えて、分析してもわからないことが、感じることことで「わかる」ことがある。

感じることを磨くには、母体となる身体を磨くこと。その先に「免疫力」と呼ばれるものの実体が見えてくるでしょう。

身体を磨くと言っても鍛えることでもなく、ストイックにジョギングしたり、マッチョになったりしても、細胞レベルの元気につながるかはわかりません。それらが悪いわけではないですが、多分もっとしなかやなものです。

ここまで書いてきて宣伝になってしまうのは恐縮ですが、よかったら来週刊行される僕の本(『ゆるむ! 最強のセルフメンテナンス』)を読んでみてください。

何をどう食べればいいか、どう日常を過ごせばいいか、意識はどうあればいいか? いろいろなフェーズを想定しながらまとめています。

このタイミングで、こういう内容の本を世に送りだせること。

これもきっと必然だし、本に出会えた人にとっても生き方・考え方を見直し、変えるきっかけになるものと信じています。

もう一度繰り返しますが、テーマは「共生」、そして「多様性」。過剰な恐れと心配を手放すには、目先の情報ばかりに反応せず、しっかり学ぶこと。

身体に、細胞に取り込んでいくこと。


これを機会に、ウイルスや菌たちとの共生、異物との調和について意識し、身体知を身につけていく。。。そうすれば発想そのものが大きく見直され、「ポスト・コロナ」の生き方、価値観、行動原理も変わってくるはずです。

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