「酵素」(酵母菌ドリンク)が腸に優しい理由ってどこにあるの?〜菌やウイルスとの「共生」、生物界の「多様性」について考え直してみよう!

前回のブログでパントエア菌(LPS)のことを書いたら、思った以上に反響があり。。。このあたりはいろいろ面白い話があるので、もう少し続けてみたいと思います。

LPS(リポ多糖)は菌の体に含まれる成分で、人の細胞に備わっている自然免疫のセンサーは、外部から侵入してきた菌のこの成分に反応して活性化すると言われています。

たとえばサイトカインのような炎症物質を出したり、マクロファージのような食細胞の働きが活発になったり、要は免疫力が強化されるわけです。

正確にいうと、自然免疫のセンサーはトール・ライク・レセプター(TLR)と呼ばれ、人の細胞には10種類ほどが備わっていることが明らかにされています。

で、LPSに反応するのはTLR4というセンサー。穀物などについているパントエア菌のLPSに反応するのもこのTLR4ですが、ほかにもいろいろあり。。。

たとえば、TLR2は乳酸菌や酵母などの体の成分(ペプチドグリカンなど)に反応すると言われています。

ちょっと専門ぽい話になってしまいましたが、乳酸菌や酵母が「体にいい」と言われているのも、こうした自然免疫のセンサーが反応する。。。つまり免疫活性をうながす作用があるからで。。。

しかも、菌の体の成分なので生きているかどうかは関係ない。

つまり、味噌に含まれる乳酸菌も免疫活性につながるわけです。ヨーグルトばかり注目されますが、日本人としてはやっぱり味噌汁!

韓国だったらキムチ!ですね。乳酸発酵は腸内にあっては腐敗を抑える殺菌的な役割を担っていますが、食品から摂る場合、免疫強化のニュアンスが強いのでしょう。

免疫は過度に働くとアレルギーや自己免疫疾患などの引き金になりますが、あまり働かないようだと、それはそれで感染症が防げないし、マクロファージには老廃物をどんどん食べ尽くす働きもあるので細胞レベルのターンオーバーにも支障が出てくるわけで。。。

しかも、免疫というのはホメオスタシス(恒常性)の一部であるわけです。

この点を教えてくださったのは、腸内細菌学の生みの親である光岡知足先生なのですが、免疫系は神経系、ホルモン系とのトライアングルで生体活性をうながしている。。。つまり、「腸を介して体全体の健康に寄与している」という、ここが免疫の働きを考えるうえで決定的にすごいところなのかなと思っています。

それともう一つ、「酵素」ってありますね? 触媒として働く酵素ではなく、健康食品の一つとして知られている「酵素」。

ネーミングが日本特有だし、科学の用語と混同されるため、眉唾のように感じている人もいるかもしれませんが、これって「酵母菌の働きで野菜や果物を分解させた発酵食品」のことを指しているわけです。

酵素ドリンク、酵素飲料=発酵食品、であるということですね(なんとなく紛らわしいので、セルフメンテナンス協会で推奨する商品は「酵母菌ドリンク」と呼ぶことにしています)

で、酵素を継続して摂っていくと(個人差や製品の質にも左右されますが)お通じの調子が良くなる、つまり、腸内環境が改善され、体調が良くなっていく。。。そうした体験をしている人が多いわけです。

これってどういうメカニズムなんだろう? 僕自身、かつて不思議に思ったことがありますが、調べていくと「潜在酵素」がどうだとか、「消化酵素を使うすぎると代謝酵素が無駄遣いされる」とか、どうも話があやしい(笑)。

たとえば、こんなふうに書かれているのを読んだことはありませんか?

しかし酵素がなぜ体に良いのかわからない、という方も多いことでしょう。実は体内に取り込んだものを消化したり、それをエネルギーに変えたりという大きな役割を担うのが、この酵素。私たちの体にとってなくてはならない物質です。

酵素には、体内で作られる潜在酵素と食物に含まれる食物酵素があります。

潜在酵素は「消化酵素」と「代謝酵素」の2つに分けられ、年齢により1年間に作られる量が決まっています。20代を100%とすると40代は50%、60代は30%というように、年齢を重ねるごとにその量は減少。それを補うのが、食べ物に含まれている食物酵素です。

食べ過ぎ、飲み過ぎで体内での消化が忙しくなると、消化酵素が大量に使われます。その分、代謝酵素が減り、疲れやすくなったり、体がむくんだり、風邪をひきやすくなったりします。つまり、生き生きとした体を保つには酵素をムダ使いしない、不足させないことが大切なのです。そのためには暴飲暴食をひかえ、食べるものはよく噛かむこと。そして毎日の食生活から酵素を取ることが必要です。

https://www.mcp-saitama.or.jp/column/health_navi/201307.php *太字は筆者

これって、アメリカのエドワード・ハウエルが唱えた説が下敷きになっているわけですが、一つの仮説。。。いや、もっと言えば「考え方」のようなもので、科学的に証明できるような話じゃないでしょう。

体の中の酵素を消化酵素と代謝酵素に分けるということ自体かなり乱暴な話だし、食べ物で補うって言うけれど、食品に含まれる酵素は要はタンパク質なので、食事を通して取り込んでも腸でアミノ酸に分解されるだけ

そのアミノ酸が細胞内でタンパク質に再合成され、それが体の材料になるわけですが、それが都合よく酵素になる保証もない。笑

というわけで、科学的な知識が少しでもあればこういう潜在酵素説的なものは一笑にふされちゃうわけですが。。。

とは言え、実際に「酵素」を摂ると腸内環境が改善され、お腹の調子は良くなる、長く続けていくと、光岡先生がおっしゃるような「生体活性」につながるような体感もある。。。そこには何らかの理由があるわけで。。。

話が長くなってしまいましたが、発酵食品としての酵素が体にプラスに作用するのは、一つは一緒に取り込まれる酵母菌の影響かもしれません。

そう、自然免疫のセンサー(TLR)は酵母菌に対してもパターン認識する。。。つまり、免疫活性がうながされる面があるわけです。

それに加えて、食べる前の段階で原料である野菜や果物などが分解されるため、腸内細菌のエサになるオリゴ糖なども一緒に取り込まれている可能性があります。

いずれにしても、キーワードになるのは自然免疫なのかなと。

もっと言えば、自然免疫を介して菌たちがヒトの体を守る方向に働いてくれている。。。この部分にもっとフォーカスし、菌やウイルスのような「目に見えない敵」と戦うのではなく、文字通りの共生を意識する。。

我が神奈川県の黒岩知事が、コロナと断固戦っていきましょう〜!と宣言していますが、そもそも戦う相手じゃないと思いませんか?

菌もウイルスも、戦って勝てる相手じゃないですよ。笑

そもそも論で言うと、感染症を含めた病気に対するとらえ方とか、よく耳にするようになった「共生」とか「多様性」というフレーズの本質を思い起こして、パラダイムシフト(意識の転換)してほしいなあと思っています。

そう、いまは意識のパラダイムシフトの時代

ウイルスだって、結果として「戦いは無益だよ、戦おうとしているかぎり勝てないよ」という気づきを与えてくれる存在かもしれない。

だとしたら、どうしたらいいか? それはもう見えない存在とも調和し、共生していけるよう体内環境をまず整えていくこと。

そう、セルフメンテナンス(養生)ですよ、本当にしなければならないことの第一歩は。

例によって、本の宣伝みたいになっちゃいますが、でも、やっぱりここに帰結するかなと。興味のある方は、こちらをポチッとしてご一読ください。