“生き物らしく生きる”〜藻谷浩介さんインタビューを終えて
今回のテーマは、
「“生き物らしく生きる”〜藻谷浩介さんインタビューを終えて」。
「里山資本主義」でおなじみの地域アナリスト、
藻谷浩介さんのインタビュー後編がアップされました。
(※7/26配信のメルマガより転載)
★「触覚を磨き、『生き物らしく生きる』ことが、
これからの時代の重要なテーマになりますね」(藻谷浩介インタビュー②)
2回にわたってお伝えした、
ボリューム満点のロングインタビューもこれで完結。
このインタビューを通じて様々な示唆が得られましたが。。。
セルフメンテナンスという文脈では、
次のやりとりが最も印象に残っています。
藻谷 『里山資本主義』はエネルギーの話が多かったのですが、
続編のなかの私の寄稿部分では、
エネルギーに加えて「人口の循環再生」の重要性を強調しました。(略)
多くの途上国ではまだ人口爆発のほうが深刻なので、
この話はSDGs(持続可能な開発目標)にも書かれていません。
でも、いずれ世界中で問題になるでしょう。
その大きな原因のひとつは、「触覚」の軽視なんですね。
ーー触覚?
藻谷 子どもができるのは、触覚の快感を追求する結果です。
少子化は、視覚や聴覚だけを優越させ、
触覚を軽視するデジタル文化のなかで拡大しているのではないでしょうか。(略)
ーー僕たちの言葉では、触覚は身体感覚になりますね。
藻谷 そう、身体感覚です。(略)そのような身体感覚(触覚)を鍛えることをせず、
読んで聞いて話してばかりいると、大脳の発達に偏りが出るのではないでしょうか。
さらに言えば、日本の学校教育は文字情報に偏って、画像情報や空間情報を軽視している。
つまり、視覚、聴覚のなかでも右脳的なものが軽視されているわけです。
右脳の活性化、身体感覚の復活・強化が、皆さんのテーマだと思うのです。
(引用おわり)
信頼できるデータを駆使し、豊富な語彙力で社会の問題点を浮かび上がらせる。。。
一般的に、こうしたスタイルは、
論理的思考(ロジック)重視
というイメージが強いのかもしれませんが、
藻谷さんの場合、ロジックを重視しつつ、その根底にあるのは、
身体感覚
つまり、「身体で感じる」ことで得られるインスピレーションだったり、発想だったりするのでしょう。
実際、プロフィールにある、
「平成合併前3200市町村のすべて、海外114か国を私費で訪問」
というすごい経歴(?)からもわかるように、
その土地に触れて、感じ、そのうえで判断、分析する。。。
そう、「初めに体感ありき」。
だからこそ、数値やデータが活きてくるということが、
インタビューを通じて実感できました。
ヒトという生き物は、食べて生きて旅をして。。。
つまり、生きるために移動し、地球という星にくまなく分散していくなかで、
それぞれの土地に適応していき、独自の歴史と文化をつくってきました。
・どんな個人も土地(風土)の影響を受けている。
・動くことで空間を変え、たえず意識を変化させている。
この点は、時代を問わず、すべての人に共通しています。
言い換えるならば、
・環境との関わりを無視して、心身の健康は成り立たない。
(=環境要因/衣・食・住の大切さ)
・体を動かし、移動することなしに気づきや発見は得られにくい。
(=移動や旅の大切さ)
前者で求められるのは、日常の環境設定。
つまり、ただ栄養補給したり、呼吸したりするだけでなく、
どんな状態で食べて、呼吸するのか。。。
あるいは、ただ頑張って仕事をするだけではなく、
どんな状態で仕事をしていくか。。。
一方、後者で求められるのは、非日常を通じた意識変容。
行き詰まりを感じたら、とにかく動いてみる。
モヤモヤしてきた時、外の空気を感じるだけでもOK。
その延長にあるのが移動であり、旅、リトリート。。。
どこかに移住するケースもあるかもしれません。
日常と非日常、このどちらにも共通しているのが、
身体感覚(触覚)
ということになりますね。
いろいろと勉強していくと、どうしても頭でっかちになりますが。。。
だからと言って、何も学ばないわけにはいきません。
学んだことを活かしていくには、「体感」をベースにすること。
エビデンス(科学的な根拠)は大事ですが、
体感なきエビデンスは、おそらく変化にはつながらず、
豊かさも得られにくいでしょう。
身体感覚を磨くことは、感性を磨くということ。
食事をしたり、呼吸をしたり、あちこち動きまわったり。。。
何のために?
突き詰めていけば、感性(感覚)を磨くため、なんですね。
この点をたえず意識していくことで、
セルフメンテナンスにつながる領域の「広さ」が見えてくるでしょう。
そう、セルフメンテナンスとは、食べて、呼吸して、動いて。。。
さらには、睡眠して、排泄して、思索して。。。
ヒトの生きる営みそのもの。
もっと言えば、「生きる力」(生命力)を呼び起こすもの。
これらはすべて、体の内部の反応=生理と連動しています。
ここには、腸内細菌やミトコンドリアのような
「内部の他者」とのコミュニケーションも欠かすことはできません。
ーー「自分らしく」という言葉はよく使われますが、
それだけでなく「人間らしく生きる」みたいなところを伝えていきたいと感じます。
藻谷 ああ、「生き物らしく生きる」ということですね。
ーーはい、まさに。「生き物としての自分」に目覚めることが、
「自分らしく生きる」ことの第一歩かなと思います。
生き物らしく生きるため、いまの自分に何が必要なのか?
シンプルに考えていくことで、とてもシンプルな「答え」が見えてくるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
一緒にセルフメンテナンスをして豊かな人生を創りましょう。
インタビューもじっくりご覧になってください。
★「触覚を磨き、『生き物らしく生きる』ことが、
これからの時代の重要なテーマになりますね」(藻谷浩介インタビュー②)
*セルフメンテナンス協会・メールマガジン(2021/7/26配信)より転載
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自らの「体」と「心」と「脳(思考⇒行動)」を能動的にメンテナンスすることにより、
自らのポテンシャルを最大化させ、自分自身や社会の幸福度を高める。
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