これがリアルなウェルビーイング!? 世界はつねに循環している

今回のテーマは、 
「これがリアルなウェルビーイング!? 世界はつねに循環している」。

この世界で生きていて、たえず感じるのは、
すべてがめぐりめぐっている。。。

季節も、月の満ち欠けもそう。
陽が昇ると朝になり、陽が沈むと夜になり。。。

一年、一月、一日。。。

地球の公転、月の自転、そして地球の自転。。。

そんなマクロの動きだけでなく、
血液も身体中をめぐり、神経も張りめぐらされ、
食べたものは消化され、細胞に届いてエネルギーに変わり。。。

そう、ミクロの世界もまた、おなじようにめぐっている。

前者が地球や宇宙の営みとしたら、後者は身体の営み

この二つを結びつけているのが、社会

たとえば、畑で採れた野菜を収穫し、それが食卓にのぼり、
調理されて体内に取り込まれ。。。

主要な栄養が身体の材料やエネルギーに変わり、
一方、「かす」にあたる部分はそのまま大腸に運ばれ、
腸内細菌たちのエサになり、
さらには便になって排泄され、また土に帰っていく。。。

この土からまた野菜や果物が育ち、
牧草などを食べた家畜が育ち。。。
ヒトの社会もめぐりめぐり、こうした循環が繰り返されていたわけですが。。。

近代以降、ここにひとつの断絶が生じました。

下水道インフラが整い、水洗トイレが普及していくことで、
快適さと便利さと引き換えに、
人と自然をむすぶ「循環」が途切れてしまったからです。

ちょっと前置きが長くなりましたが。。。笑

今回、インタビューに登場した加藤裕之さんは、
国土交通省で長く下水道政策に携わったのち、
東京大学で下水道システムの地域資源循環などを研究されている、
この分野のスペシャリスト。

ご縁があってインタビューをさせていただいたのですが、
これがもうびっくりの連続!

現在、下水道に流される汚泥の8割は、
セメントなどの建築資材にリサイクルされてるとのことですが。。。
こちらは汚泥の無機質にあたる部分。

ただ、かつて肥料などに使われていた有機分は、
使われずに焼かれていたらしく、
生命を支える食の部分の循環が途絶えてしまっていたんですね。

加藤先生いわく、「有機分の利用は日本全体の下水汚泥の30%弱、
残りの70%以上はまったく使われていません」

となると、畑には別のところから肥料を用意せざるをえず、
その多くは化学肥料が使われてきたため、
作物の生育を支えていた土壌の生態系が崩れてしまったわけです。

本来使われていた下水道由来の有機分の多くが捨てられ、
その一方で、余計なコストをかけて化学肥料や農薬が使われ。。。

一見、効率的なことのように思えますが。。。
実際には過剰にエネルギーを投下する、
かなり非効率なことをやってきたのがわかりますよね?

注目したいのはここからです。

この捨てられていた汚泥の有機分が、
現代のテクノロジーによって良質な肥料に還元され、
古き時代の循環型農業が甦りつつある。。。

そんな話を聞いたら、ちょっと驚きませんか?

そうした取り組みを地域ぐるみで推進し、
世界的にも珍しい「バイオマス産業都市」を実現させているのが
佐賀県の佐賀市なんですね。

以下、インタビューから抜粋すると。。。

――現代人は、食生活が大きく変わりましたから、江戸時代の人と比べて腸内環境も相当乱れていると思うんです。
だから、昔のように便を堆肥として畑に使うことは難しいだろうというイメージがあったのですが。。。きちんと発酵によって無害化させ、有益な肥料に変えているんですよね。

加藤 はい。市販の肥料と違って、微生物の力を利用していますから、非常に良い土になるようです。
化学肥料に依存すると連作障害が起こりますが、下水汚泥の肥料では起こらず、フカフカの土になると言われていますね。

――自治体レベルで導入しているところはあったんですか?

加藤 沖縄や北海道などやっているところはありましたが、下水道管理者が「渡して終わり」のような感じで終わってしまっていたんですね。

――リレーになっていなかった?

加藤 なっていなかったですね。農家さんも、もらったのはいいものの「どうやって使うの?」みたいな感じになってしまったんです。佐賀市では、(こうした問題を解決させるために)下水処理管理者が農家に向けて勉強会を開いて情報共有をして、下水汚泥の使い方まで指導するようになりました。
そして、農家の意見を聞いて肥料の改良も行ってきました。よく「バトンの渡し方」と言うのですが、次に使う人のことまで考えて渡す、ということをやったのです。

(引用おわり)

こうしたお話を加藤先生から聞いて驚いたのは、
「下水処理施設が社会にとっての腸にあたっている」ということ。

実際、コロナ前に加藤先生と現地を訪問していますが。。。

腸内細菌による発酵現象が下水処理施設の中でも行われ、
汚泥が菌の力で発酵され、無害化、無臭化することで有用な肥料に変化する。。

そう、現代の最新のテクノロジーを活用にすることによって、
体のウチとソト、ミクロとマクロがつながり、生態系の循環が取り戻されつつある
わけです。

しかも、こうした肥料でつくられた作物は
栄養豊富で、味わいも豊か。
「じゅんかん育ち」とネーミングされていますが、
腸から出したものがまた腸に取り込まれ、食べた人の健康に貢献しているんですね。

興味のある方は、ぜひインタビューをご覧になってください。
https://selfmaintenance.org/archives/5953

持続可能性、ウェルビーイングの重要性が叫ばれるなか、
そのリアルな実践例が目の当たりにでき、未来への希望が湧いてくるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
一緒にセルフメンテナンスをして豊かな人生を創りましょう。

セルフメンテナンス協会・メールマガジン2022/3/14配信)より転載

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